声がする方へ振り向くと、理樹さんが立っていた。

「理樹さん!」

私達はお互いに引かれるように抱き合った、そして人目も憚らずキスをした。

まるでニューヨークの街が、二人を祝福してくれているような感覚に陥った。

解決しなければいけないことは山積みだが、今は理樹さんの腕の中で、抱きしめられている幸せに浸っていたかった。

「亜紀、今度こそ、日本に戻ったら結婚しよう、俺達は許嫁なんだからな」

「でも、理樹さんには婚約者がいるんですよ」

「ごめん、愛理お嬢さんに言われて、亜紀に内緒で出かけたこと謝るよ、本当にごめん」

「本当に私でいいんでしょうか」

「当たり前だ、俺の結婚相手は亜紀だよ」

私は溢れる涙をどうすることも出来なかった。

ニューヨークの熱い夜の炎は燃え続けていた。