どっちにしろ私と秀は別れる運命だったと思い返した。

秀は優しい人だから、私の突然の涙を見て、抱きしめてくれたんだろう。

そう思っていたら、秀の口からとんでもない言葉を聞く事になるなんて予想もつかなかった。

「亜紀、俺達やり直さないか?」

「えっ?」

私は想像もつかない展開に戸惑ってしまった。

「ごめんなさい、私、好きな人がいるの、プロポーズされたから結婚しようと思ってる」

嘘ついてしまった。

好きな人が出来たのは本当だけど、プロポーズされたなんて多分私の勘違いだ。

「そうか、わかった、でも、何かあったら相談位は乗るから連絡してくれ、連絡先変わってないから」

「ありがとう」

秀の優しさについ気が緩んで、涙が溢れて来た。

「亜紀、どうしたんだ」

秀は私の手を引き寄せ抱きしめた。

秀との二年間が走馬灯の様に蘇る。

秀と出会ったのはコンビニの前。

私と入れ替わりに店から出て来た秀が財布を落とした。

その財布を拾って秀に声をかけたのが始まりだった。