「すみません」

日本人と言うだけで私はすっかり気を許した、どこの誰ともわからないのに……

助けてくれた男性が泊まっているホテルは高級ホテルだった。

「すごい、こんな高級ホテルに泊まってるなんて」

「お前はどこのホテルに泊まってるんだ」

「私、お前じゃありません、水本亜紀です」

「亜紀か、俺は東條理樹、東條ホールディングス社長だ」

東條?私の嫌な記憶が脳裏を掠めた。

でも、それも一瞬の出来事で、この時は気にも止めなかった。

社長?だからこんな高級ホテルに泊まってるんだ。

私は納得した。

そういえば、理樹様って呼ばれていたよね。

「痛い」

「少しは我慢しろ」

「私、痛いのは苦手なんです」

「じゃあ、初めての時は大変だっただろ」

初めての時?

「はじめて男に抱かれた時だよ」

私は顔が真っ赤になった。

「思い出してたのか」

「私、まだ経験ありません」

その男性はびっくりした表情で私を見つめた。