俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜

ビルを見上げていると、一人の男性が私に声をかけて来た。

「失礼ですが、弊社に何か御用でしょうか」

振り向くと、誠実な印象の素敵な男性だった。

「いきなり、失礼致しました、自分は東條ホールディングス副社長、東條健と申します」

その男性はそう言って、私に名刺を差し出した。

私はその名刺を受け取りまじまじと見つめた。

「あのう、社長秘書の件でしたら、既に決まってしまって」

「いえ、違います」

「そうですか」

副社長ならいろいろな事を知ってるかもしれない。

私は意を決して副社長に尋ねた。

「御社のホームページを拝見して、社長さんのプロフィールの事なんですが、婚約者と記載があったのですが、婚約者がいらっしゃるって事ですか」

副社長は私をまじまじと見つめて、それから答えた。

「はい、取引先のお嬢さんです、失礼ですが社長のお知り合いの方でしょうか」

私は戸惑いを隠せなかった。
「あの、その、えっと、知り合いではありません」

まずい、変に思われたよね。

「そうですか」