「まだ、三船くんは自分のものではありません」

「まだって事はこれからそうしたいって事ですよね」

「いや、その、えっと……」

滝本先生はしどろもどろになってしまった。

「先生、安心してください、俺と三船は付き合った事はないし、今後そうなる可能性もありません、俺は亜紀を愛していますから」

滝本先生は安堵の表情を見せた。

俺は亜紀の病室へ向かった。

亜紀はまだ目覚めない。

どうする、脳の腫瘍、難しい場所ならそのまま放っておく、でももし悪性なら命に関わる。

麻痺が残っても、生きていて欲しい、これが俺の本音だ。

亜紀はどう思うだろうか。

麻痺が残って迷惑かけても、生き延びて俺と共に生きる道を選ぶだろうか。

いや、また俺の側から姿を消すんじゃないだろうか。

とにかく、亜紀が目覚めない限り、どうすることも出来ない。

俺は三船を呼び出し、滝本先生の件を確かめる事にした。

「ちょっと話があるんだ、時間大丈夫なら外に出ないか」

「これから休憩だから大丈夫よ、何?」