「なんとも言えないわね、様子を見るしかないから」

そんな時、三船の口利きで亜紀の病状を俺に話して貰える事になった。

「東條理樹さんですね、私は水本亜紀さんの主治医で滝本修二と申します、この度はご本人のご意向で刈谷さん以外には病状を話さないでほしいとの申し出がありましたので、先日のような対応をさせて頂きました、申し訳ありませんでした」

「いえ、わかって頂けたなら問題ありません」

「検査の結果が出ました、脳の難しい場所に腫瘍が見つかりました、貧血もありますが、血液の病気ではありませんでした」

「それで亜紀は大丈夫なんですよね」

「腫瘍は良性か悪性か病理検査をしないとわかりませんが、手術をした方が良いと判断致します、ただ、かなり難しい場所ですので、万が一術後麻痺が出てしまう可能性は否定出来ません」

「そうですか、少し考えさせてください」

「術後の麻痺はリハビリで回復する可能性は十分にあります」

「前向きに考えさせて頂きます」

「わかりました」

「先生のように一生懸命言ってくれると信じてみようかと思えます」

「癌で恋人を亡くされた経験があるとお聞きしました」

「三船がそう言ったんですか」

「はい、すみません」