そんな矢先、会社のことは健に任せっきりだったが、流石は健だと頭が下がる思いだった。

愛理お嬢さんとうまく話を進めて、訴訟は取り下げてもらえる事になったと連絡を受けた。

愛理お嬢さんの父親の会社とも取引は続ける事に決着がついた。

あとは亜紀が目覚めてくれて、検査の結果が大したことがなければと俺は祈るばかりだった。

俺はずっと亜紀の側を離れず、精神的ストレスと疲労が蓄積されて、意識を失った。

三船が処置してくれた。

俺は気づいた時、ベッドに横たわり、点滴を受けていた。

「三船、俺はどうしたんだ、亜紀はどうなった」

いきなり立ち上がろうとした為、ふらついて床にへたり込んだ。

「何やってるの?無理するから身体が悲鳴あげたのよ」

「ごめん、俺、三船に叱られてばかりだな」

三船は目にいっぱいの涙を溢れさせて訴えていた。

「今、目の前で大事な友達が泣いてるのを見て抱きしめたい気持ちだけど、それがいけないんだよな」

「当たり前でしょ、そんな事されたら、水本さんから東條くん奪っちゃうよ」

俺は苦笑いをしながら頭をかいた。

「まだ水本さんは眠ったままよ」

「そうか、このまま目覚めないなんてことはないよな」