真夜中に恋の舞う




最後に会った昼休み、怒って別れてしまったことを後悔する。


こんなに会えなくなるなら、もう少し一緒にいればよかった。意地張らないで、犀川くんの言う通りにしておけばよかったのかもしれない。



そんなことを今更考えたって遅くて、メッセージは今も未読のままで、犀川くんには会えなくなった。



……一体、今何をしているんだろう。
傷付いたり、していなければいいなと思う。





「あ、尋くんお待たせ」



今日も放課後、学校から少し離れたところに停まっている黒い車の助手席に座る。




「お疲れ様―」





優しく笑う尋くんは、差し入れ、とドライブスルーしたらしいキャラメルマキアートをくれた。





「え、ありがとう!どうしたの?」


「いや、落ち込んでるかなーと思って」


「……犀川くんのこと?」


「寂しい?深雪がいなくて」




質問だけれど、答えは分かり切っているようだった。
尋くんはブラックコーヒーを飲んでいる。





「……犀川くんは、大丈夫なの?」


「うん、大丈夫だよ。ちょっと、いやかなり忙しいけど」


「ねえ、犀川くんは、尋くんは、何をしてるの?」





信号が赤になって、車が止まる。尋くんは真っ直ぐに前を見たまま、うーん、と困った顔をする。