真夜中に恋の舞う




犀川くんと喧嘩した日から、1週間が経った。



犀川くんはあの日から、学校に来ていない。確かにしばらく会えなくなるからと言っていたけれど、学校にまで来なくなるとは思っていなかった。


犀川くんのいない学校は苺のないショートケーキみたいで、クリームの入ってないクリームパンみたいで、それで。


最近なんだか毎日のように会って、話していたから、心にぽっかり穴が空いたみたいな感覚になる。





「最近、犀川くんずっと休んでるらしいね。重い風邪なのかなぁ」

「ね、心配だよね」




犀川くんは、表向きは風邪ということになっている。


はるちゃんと喋りながら、きっと風邪じゃないんだろうな、と思う。


これからしばらく一緒に帰れないと言っていたのは、きっと忙しくなるからだったのだろう。



そしてその忙しさは、学校とは別の、犀川くんの裏の顔に関することなのだろうと、何となく想像がつく。



犀川くんが言っていた通り、最近は毎日尋くんが車で学校まで迎えにきてくれている。


学校にから車で帰っていると目立つからと、少し離れたところに車を停めてもらうようにお願いした。





昨日の夜、犀川くんに『大丈夫?』とメッセージを送ってみたけれど、返信は来なかった。



既読にもならないそれに、心配になる。


私が家に帰れたかどうかは連絡させるくせに、私が心配している時は返信もしてくれないなんて、勝手な人だ。


今も既読にならないメッセージアプリを見て、どんよりした気持ちになる。