「え、知り合いなの?そう、北高校のジョーくん」
「……はるちゃん、今北区は危ないって話してなかった?」
「えー、普通の高校生なら大丈夫でしょ。私たちだって西高校の生徒だけど、全然不良とは関係ないじゃん。北区がちょっと治安悪いだけで、高校は普通だって」
まあ、確かにそうかと思う反面、ジョーくんはきっと関係ある人だよ、と思ったけれど言えなかった。
まして西高校の生徒会長である犀川くんは、もっと関係ある人だよ、とも言えなかった。
「ていうか、萌乃もジョーくんと知り合いなら一緒に遊ぼうよ。ちょうど今日の放課後、UFOキャッチャーやりに行こうって話してたんだよね。萌乃もおいでよ」
「ええ……そんな、邪魔じゃない?ていうか何でUfOキャッチャー?」
「全然いいよ。好きっていうか友達って感じだし。UFOキャッチャーがめちゃくちゃ上手いらしいよ」
「うーん……」
犀川くんの「2度と会うな、関わるな」という言葉を思い出して、迷う。
だって今日も、犀川くんが一緒に帰るつもりかもしれないし。そうしたら昨日言い過ぎちゃったこと、謝ろうかな。なんて思っていたのに。
『今日は俺が迎えに行くから校門で待ってて』
タイミングよくスマホに着信したメッセージは、尋くんからのものだった。
ふーん、そうなんだ。犀川くんは来ないんだ。
急に悔しくなってきて、はるちゃんに頷く。



