私にもできることがないかと小声で書記の田中くんに聞いたら、飾りのお花づくりを頼まれたので、色のついたティッシュみたいな薄い紙を重ねて、花を作る。
田中くんは同じクラスの大人しめの男の子だ。
手持無沙汰だったので、仕事をくれてありがとう、と思いながら花を量産する。
「やだ、犀川くんおもしろーい」
目の前では、私に見せつけるように浅木さんが、犀川くんの肩を軽く叩いている。浅木さんはきっと、私たちが付き合ってると思ってる。
それで私に見せつけるために、私が見ている前で犀川くんに触れているのだと思う。
……私たちって、付き合ってることになってるんだっけ。よく分からなくなってしまっている。
犀川くんも、浅木さんにデレデレしているような気がする。やっぱり何を言っていたって、男の子は浅木さんという美人に弱いのだ。
「水沢さん、すごい花作ったね」
いちゃついている2人を見ないように花作りに集中していたら、いつの間にか目の前には大量の花が完成していて、田中くんが驚いている。
「ありがとう、すごく助かったよ」
「こんなにできてたんだ……」
自分でも驚いていると、萌乃ちゃん、と低くて綺麗な声が聞こえる。
「っ、犀川くん」
名前を呼ばれただけでドキドキしてしまうなんて、悔しすぎる。



