結局近づいた唇が触れることはなく、もう夜も遅かったので犀川くんは帰って行った。 ここは私の家で、これから家に帰るのは犀川くんなのに、彼は私に「気を付けてね」と言って帰って行った。 いつも思うけれど、少し過保護すぎる気がする。 大切にしてくれてるって、思ってもいいのかな……。 そして犀川くんは、今日家に帰っても、1人なんだろうか。それって、寂しくないのかな。 犀川くんの背中を見ながら、ぼんやりとそんなことを考えた。