ハンバーグと野菜スープを作ってご飯を炊いて、テーブルに並べると、犀川感が驚いた顔をした。




「……え、こんなの作れるんだ」

「ふふん、見直した?」

「うん、びっくりした」



ハンバーグを一口食べて、美味しい、とまた驚いてくれる犀川くん。なんだか可愛くて笑ってしまう。



ご飯を食べ終わってそのまま、ソファーに並んで座る。静かな空間に何だか緊張してしまうので、何となくテレビをつけると、バラエティ番組で芸人さんがハマっている映画の話をしているとことだった。




「ごちそうさま、美味しかった。本当に料理得意だったんだ」


犀川くんが珍しくすごく褒めてくれて、嬉しくなる。

私の家に連れて来るだなんて思いがけない展開だったけれど、作ってよかった。



「そんな大した物じゃないよ。そんなに褒められると恥ずかしくなってきちゃう……」

「……手料理とか、食べたの数年振りだから感動した」


犀川くんの言葉に、え、と驚く。



「家とかでは……」


「父親は俺が小さい時に出て行って、母親は俺が中学の時に亡くなった」


「え……」




思いもよらない話に、言葉が出てこない。
じゃあ、犀川くんは、いつも家に1人ってこと……?


だってまだ、私と同じ高校生なのに。当たり前のように家に帰れば両親がいて、毎日ご飯を作ってもらっている私からは考えられない。犀川くんが大人っぽいのは、そのせいなのだろうか。