「嫌だよ、不良なんて。平和に生きたいもん。

……それに、」




「それに?」




突然言葉を止めた私に、はるちゃんは不思議そうに聞き返す。





「……あ、いや、なんでもない」


「えー?変なの」





危ない、変なことを言おうとしちゃった。もう全然関係ないのに、こんな人。



もう一度はるちゃんのスマホの画面に映る彼の姿を見て、なんだか胸が苦しくなった。





「じゃあ萌乃はどんな人が好きなの?」



「私は優しくて、王子様みたいで、悪いこととかしない人!絶対!」




力強く答えると、はるちゃんは、スマホを机に置いて、ふーんと口角を上げて笑う。




「それって、犀川くんみたいな?」


「っ……」



ちょうど頭に思い浮かべていた人の名前がはるちゃんの口から出てきて、思わず言葉に詰まる。