「何してるの」







男たちの後ろから、ドスの効いた声が聞こえて、男たちがウッと苦しそうな声を出す。





「犀川くん!」




犀川くんは王子様みたいな綺麗な顔で、男の腕を後ろから捻って、私のスマホを取り返す。


もう1人の男が犀川くんに殴りかかったけれど、それもなんてことないような顔をして殴り返した。



何だか、映画を見ているみたいだ。

土曜日の昼間の、晴れた日の海で。王子様みたいな犀川くんが、自分よりガタイのいい男2人を簡単に倒している。







「ごめん、お待たせ」




綺麗な顔で私を振り返る彼の足元には、男が2人転がっていた。

動かないけれど、死んでいるわけではないようだ。信じられない光景に、私はただ茫然と犀川くんを見つめる。