「ふーん、犀川ってこんな普通の女が好きなんだ」
「意外だな、可愛い系が好みなんだ」
嫌だ、怖い。
犀川くんに連絡しようとバッグからスマホを出したけれど。
「だめだよー、こんな時にスマホなんて見てたら」
パッとスマホを取り上げられてしまった。まずい、どうしよう。
「とりあえず俺たちと一緒に来てもらおうか」
「犀川、どんな顔するかな」
不気味な笑顔。
もしかしたらこの人たちは、犀川くんを狙っていたのだろうか。一体いつからつけられてた?
浮かれていて、彼らの存在にも気づいていなかった自分が情けない。
隙を見て逃げ出したいけれど、周りには人もいないし、逃げ込める場所もない。スマホも取られてしまった。
もうだめだ、と、思った時。



