「おはよう」
ヘルメットを外した瞬間、彼のキラキラ綺麗な金髪がさらりと風に揺れる。それだけでドキッとしてしまって悔しい。
「おは、よう」
「はい、ヘルメット」
私の分と思われるヘルメットを渡されて、ええ、と後ずさる。
「バイクなんて乗ったことないよ……」
「大丈夫。後ろ乗って、掴まって」
促されて後ろに乗ったけれど、どこを掴んでいいかわからず戸惑ってしまう。
バイクって、道路を走ってるのを見かけると小さい気がしていたけれど、いざ自分が乗ってみると、意外と大きくてまたがるのが大変だった。
なるほど、だからスカートじゃなくてパンツ指定だったのかと納得する。
と、犀川くんがモタモタしていた私の腕を掴んで、自分の腰に回した。
「ちゃんと掴まってないと落ちるよ」
「は、はいっ」
走っているバイクから落ちる姿を想像したら怖くなって、犀川くんの腰にぎゅっと腕を回した。



