「やばい!もう11時になっちゃう」



昨日の夜は、なんだか緊張してしまってあまり眠れなかった。

だって犀川くんは私の大嫌いな不良だったとはいえ、ずっと憧れていた王子様でもあるから。


何を着て行ったらいいのかとか、髪型はどうしようとか、そんなことを考えているうちに寝る時間が遅くなってしまった。




服は指定された通り、デニムのパンツ。でもそれだとちょっとカジュアルすぎる気がして、トップスはリボンのついたボウタイブラウスにした。

髪も巻いてメイクもして、いつもより少しは可愛くなれたはず!強引に誘われたとか言っていた割に気合を入れてしまった自分が少し恥ずかしい。


と、スマホがメッセージの着信を知らせる。



『着いたよ』



犀川くんからのメッセージを見て慌てて家を出ると、家の前には大きな黒いバイクに乗った犀川くんがいた。