真夜中に恋の舞う




「楽しみだなー。あ、当日はスカートじゃなくてパンツにしてね」


「え、どこに行くの……?そんなアクティブなことできないよ……?」



パンツスタイルじゃないとだめだなんて、登山でもさせられるんだろうか。


最初のデートはカフェだったのに、雰囲気変わりすぎじゃない?なんて考えて百面相していると、犀川くんは可笑しそうに笑う。





「秘密」




にやりと笑う顔が綺麗で、思わずドキドキしてしまう。




「て、ていうか、まだ行くって言ってな……」




言ってないよ、と言おうとした瞬間。

ぐっと距離がつまって、目の前に綺麗な犀川くんの顔があったから、言葉を飲み込む。





「だって付き合ってくれないんでしょ。チャンスちょうだい。好きにさせるから」





ああ、ずるい。本当にずるい。
こんなの断れる女の子がいるなら会ってみたい。


何も言えずに、こくりと小さく頷く。
犀川くんは満足げに笑った。



きっと全部わかってるんだろうな。何をしたら女の子がときめくのかも、自分の顔の綺麗さも、ぜんぶ。


私はどうせ手のひらの上で転がされているだけだとわかっているけれど、今は気付かないふりをした。