「……なんで電話してくれたの?」
『あー、ちゃんと家帰れたかなと思って』
「えー?」
『嘘、今日会えなかったから』
「っ……」
ああまた、胸が苦しい。どうしてこんなに優しくて、甘いんだろう。
「私も、会いたかったなと思ってた……」
『ほんと?よかった。ごめんね夜に。おやすみ、また明日』
「おやすみなさい!また明日!」
こんなふうにおやすみの電話ができるなんて思ってなかった。この声は、今だけは私のもの。
1日の最後に聞く声が犀川くんの「おやすみ」だなんて、なんて贅沢なんだろうか。
犀川くんは夢の中にまで出てきて、私は四六時中彼のことばかり考えていた。



