「よかった、無事で……」
犀川くんは眉を下げて、泣きそうな顔をしていた。
「ごめんね、私のせいでみんなに迷惑かけて……」
「いや、俺が油断してた」
犀川くんは、私の頬を手のひらで包んだまま続ける。
「あの日、放課後迎えに行ったら萌乃がいなくて、車に呼ばれて出て行ったって聞いて、心臓止まるかと思った。萌乃に何かあったらと思ったら、気が狂いそうだった」
犀川くんはあの日のことを思い出しているのか、苦しそうな表情をしている。どれほど自分が心配をかけてしまったのかと、心が痛む。
「ごめんね、犀川くん」
私も、犀川くんが撃たれたと分かった瞬間、心臓が止まった。犀川くんが死んじゃったらどうしようって、おかしくなりそうだった。
犀川くんも同じだったんだんだね。
「……萌乃がいなかったら、もう生きていけない」
犀川くんが、困ったような顔で私を見る。
ドク、と心臓が鳴る。
「ここまで好きにさせたんだから、責任取れよ」
犀川くんの瞳が、私を捕える。
捕まえて、縛り付けて、離さない。



