そのロック画面の写真を二度見する。
海を見ながら笑っている、私の姿がそこにあった。
初めてデートした、海の写真だろう。
いつの間に写真なんて撮っていたんだろうか。
全く撮られた覚えはないけれど、写真の中の私は、見たことないくらい楽しそうな顔をしていた。
眠っている犀川くんに視線を移す。
何だかこのまま目を覚さないんじゃないかって怖くなって、そっと頬を撫でた。触れた頬は少し温かくて、その体温にほっとする。
「……ごめんね、犀川くん」
私のせいで、こんなことになってしまって。
申し訳なくて、自分が情けなくて、そして目の前の彼のことが何よりも愛おしくて、そっと頬に唇を落とす。
瞬間、ゆっくり開いた彼の瞼。
私は驚いて体を離したけれど、遅かった。
犀川くんは、突然のキスに驚いた顔をしている。
「お、起きてたの……?」
「ん、今起きた」
「っ……」
「キスで目覚ますなんて、俺が姫みたいじゃない?」
くくっと笑っている犀川くんが、思ったよりも元気そうで安心した。
「私が王子様ってこと?」
私もくすくす笑っていると、犀川くんの怪我をしていない方の左の手が伸びてきて、私の頬に触れる。
その手の体温に、なぜだか泣きそうになる。



