受付で名前を書いて、尋くんに教えてもらった部屋番号を頼りに、エレベーターで3階に上がる。
白くてぴかぴかの廊下を歩くと、「犀川深雪」と書かれた部屋にたどり着いた。他に名前が書かれていないところを見ると、1人部屋のようだ。
コンコン、とノックをしたけれど返事がない。
「失礼しまーす……」
小さな声でそう言って、ゆっくりドアを開けても、返事はなかった。
ベッドの周りにはカーテンがかかっていて、ベッドの様子は見えない。想像していた病室よりも広くて、物が何もないから何だか寂しげな部屋だった。
「犀川くん、開けるよ」
カーテンをそっと開くと、久しぶりに見る犀川くんの姿があった。
はちみつ色の綺麗な髪が、窓から差し込む光を浴びてきらきらしている。
寝ているようで、目を閉じている犀川くんの顔はとても綺麗で、病室を背景にするとなんだか儚げな美少年のようだった。
肩に巻かれた包帯が痛々しくて、胸が痛む。
と、ベッドの脇の棚に置かれていた犀川くんのスマホが、メッセージの着信を知らせて画面を光らせた。
マナーモードにされていて、一度振動するだけで音は鳴らなかった。光った画面がしばらくそのままになっていて、盗み見したわけではないけれど目に入る。
「え……」



