手を撃たれた真島諒介は、持っていた銃を手放した。
倒れ込んだまま、それでも床に落ちた銃を反対の手で拾おうとする彼。
その銃を拾って、滑らせるように遠くに捨てたのは、ジョーくんだった。
ジョーくんは真島諒介の横に立って、彼を見下ろす。
「ジョー、どうして……」
「もういいよ。やめようよ、兄ちゃん」
ジョーくんが、彼を見下ろしたまま話す。
彼は、怪訝な顔でジョーくんを見上げる。
「……これ以上、兄ちゃんのこと嫌いにさせないでくれよ。誰も兄ちゃんについて行かなくても、世界中がお前のこと憎んでも、俺だけはお前のこと心から嫌いになれねえんだよ。
……だって、たった2人の家族なんだから……」
ジョーくんの目から、一粒の涙が溢れた。
それを真島諒介は、呆然としたように見つめていた。
「……ごめん、ジョー。ずっと、ごめん」
絞り出すように小さな声で、彼はつぶやいた。
薄暗い倉庫の中は、火薬と血の匂いがした。
世間はもうすぐクリスマス。私の腕の中で犀川くんは、浅い呼吸を繰り返していた。



