「萌乃、大丈夫?痛くない?」
犀川くんは反対の手で私の頬を撫でる。
「私は大丈夫だけど、犀川くんが……」
「大丈夫、肩だから」
「大丈夫なわけ……」
どうしたらいいのかわからずに混乱する私に、近づいてきたのは尋くんだった。
「大丈夫。萌乃、落ち着いて。ちょっと深雪貸してね」
尋くんは私の膝に横たわる犀川くんをマットの上に寝かせて、自分のシャツを破って肩を止血した。
「掠っただけだな。これなら大丈夫」
テキパキと手当をする尋くんを、私は呆然と見つめる。
そしてハッと我に返って、真島諒介の方を見る、と。
「え……?」
真島諒介も、さっきの場所に倒れ込んでいた。
よく見ると、手のあたりから出血しているのが見える。
尋くんが銃を持っていたのを思い出して、尋くんが撃ったのだと予想がついた。
私怖くて目を閉じていたから何も見えなかったけれど、確かにあの時銃声は2回聞こえた。
1度は私撃つために、真島諒介が引き金を引いたもの。
そしてもう1つは、私を守るために尋くんが、真島諒介に向けて撃ったものだった。



