真夜中に恋の舞う





バァン、と鼓膜が割れるような破裂音がして、私はぎゅっと目を瞑った。



誰かに倒されるようにマットの上に転がり、その拍子に身体中に鈍い痛みが走る。




けれど、想像していた痛みはいつまで経っても襲ってこなくて、恐る恐る目を開けると、私の上に覆い被さるようにして、犀川くんが倒れていた。








「犀川くん……?」







身体を起こして、犀川くんの身体に触れると、生暖かい液体べとりと手について、身体の芯が凍りつく。



手のひらを見ると、薄暗い中でもわかる、赤黒い液体がついていた。








「犀川くん……!?」







私を庇って打たれたのだと理解した瞬間、視界がぐらりと歪む。


犀川くんの右肩から、制服に染みるように血が広がっていた。



嫌だ、犀川くん、どうして。






「やだ、ねえ、死なないで、やだってば……っ」






ぽろぽろと涙が溢れて、私の膝に頭を乗せて横たわる犀川くんの頬に落ちる。