「思い通りにはさせない……西区ごと乗っ取って、仲間を増やしてやる」
真島諒介の言葉に、挑発するように尋くんが笑う。
黒い細身のスーツが、そこから取り出された銃が、ここにいるのは私の知っている尋くんではないと思い知らせてくる。
尋くんは対抗するように真島諒介に銃口を向け、カチャリと音を立てて銃を操作する。
「お前の組織は仲間じゃない。お前は部下をただの道具だと思っている。お前はその仲間のために何をした?北区のことを愛している仲間は、何人いる?
お前を心から信頼して、ついてくる奴はいるのか?」
「うるせえ、殺す!お前の大切なもの全部、ぶっ潰してやる!」
尋くんの言葉に顔を真っ赤にした真島諒介は、体の向きを変え、その銃口を私に向けた。
向けられた銃口に、私射抜くように、恨みのこもった目で見る彼に、ドクン、と心臓が大きな音を立てる。
ドクン、ドクン、と自分の脈がうるさいほど耳元で聞こえる。頭が真っ白で、身動きが取れない。
「萌乃!」



