真夜中に恋の舞う





「へえ、もうたどり着いたんだ。さすがだね、妹尾、犀川」





ジョーくんがにやりと笑って、ゆっくりスマホをポケットにしまい、椅子から立ち上がる。


2人の背後から襲い掛かろうとする男たちがいたけれど、犀川くんがノールックで男を殴り倒した。


犀川くんは制服姿のままだから、あの後すぐに動いてくれていたのだろう。




「萌乃、大丈夫か!?」



犀川くんが真っ先に私に駆け寄り、手足のロープを解いてくれる。ようやく自由に動けるようになって、私も慌てて立ち上がった。




「何もされてないか?」

「うん、大丈夫。ありがとう」



私とジョーくんの間に立って、犀川くんは私を背中に隠してくれる。



「やっと来たか。待ってたぞ」




開いたままの倉庫のドアから入ってきたのは、初めて見る男だった。

大きな身長、黒いスーツ、歪んだ笑顔。何となくジョーくんに似た顔立ちに、もしかしてと思う。




「真島……」





尋くんの呟いた名前はやっぱりジョーくんの苗字と同じだった。


この人が、真島諒介……。