「……ジョーくんは、どうして組織に入ったの?」
私の問いかけに、ジョーくんはスマホから顔を上げた。
「言わなかったっけ、俺のクズ兄貴が北区のリーダーだから」
「それは聞いた、けど」
ジョーくんは少し考えてから、ああ、とまた口を開いた。
「小さい時、母親が俺と兄貴を置いて出て行ったんだよね。父親は昔からいなくて。
それで兄貴がグレて夜の街を徘徊してる時に北区の連中に出会って、後を追うように俺もここに来たわけ。平和に育ってきた萌乃ちゃんからは信じられないでしょ」
「……」
犀川くんと、似ているなと思った。
2人がいた場所が、北区だったのか西区だったのかというだけの違いだと思った。
「組織に入って、汚いこともたくさんしたし、こんな人生何の意味があるんだって、何度も思ったけど。
でも仲間も家族もここにしかいないから、ここから出て行くこともできない。だから妹尾尋から西区の話を聞いた時には、俺がいたのはどうして西じゃなくて北だったんだろうって、絶望したりもしたけどね」
ジョーくんは暗い倉庫の中で、遠くを見つめていた。



