真夜中に恋の舞う









「ん……あれ、」



目を覚ますと、そこは暗い部屋だった。


手足が思うように動かなくて、よく見るとロープのようなもので縛られていた。


驚いて目を見張る。辺りを見回すと、倉庫のような部屋で、私はマットの上に寝かされていた。

縛られているので、起き上がることもできない。薄い暗闇の中で、雑多に散らかる倉庫。少し埃っぽい匂いがした。





少しずつ記憶が整理される。


そうだ、私は校門のところで男たちに睡眠薬みたいなものを吸わされて。きっとそのまま、あの黒い車でここに連れて来られたのだろう。




そうだ、スマホ。

スマホを探すけれど、私が持っていたはずのバッグはここにはない。ポケットの中にも、何も入っていないようだった。



どうしよう、と混乱する。



どのくらい時間が経ったんだろう。ここはどこなんだろう。私は、どうなってしまうんだろう。







きっと私を連れ去った男たちは北区のメンバーで、ここは北区の所有している倉庫なのだろう。


犀川くんは、私がいなくなったことに気づいているのだろうか。色々なことをぐるぐると考えているうちに、倉庫のドアが開いて、うっすらと光が差し込んだ。