「まだ、解決したわけじゃないんだよね……?」
「そうだな。攻撃仕掛けてきた割に北区は負けてばかりだったから、一旦退散したんじゃないかと思ってる。でも終わったわけじゃないから、油断はできないけど……」
犀川くんと一緒に帰れるこの平和な日常も、一生続くわけじゃないんだと思うと怖くなる。
犀川くんには絶対、危険な目に遭わないでほしいよ……。
「そういえば、ジョーくんと犀川くんは知り合いなの?」
ジョーくんの名前を出すと、犀川くんは少し嫌そうな顔をした。私が何度か秘密でジョーくんに会ってしまったせいだろう。
「ジョーは、尋さんと裏で繋がってるらしくて、何度か会ったことはある。尋さんが北区にスパイに行ってた時に、ジョーだけはそれに気付いてて、協力してくれたりもしたらしい。
北区のやり方にはうんざりしてるって言ってたけど、所詮は敵だから、どこまで本当だか、って感じだけど」
「そうなんだ。
……色々聞かれるの、嫌?」
犀川くんにも、触れられたくないところはあるだろう。
私は犀川くんの知らないところを知りたいけど、嫌だったらもう聞かないほうがいいのかもしれない。
そう思って確認すると、犀川くんは優しく微笑んだ。
「いいよ。答えられる範囲で答える」
もうすぐ冬が始まる。
秋の涼しい風が、私たちの頬を撫でる。



