「……俺のこと、好き?」





綺麗な顔で、首を傾げて聞いてくる犀川くんは、何だか子犬みたいで可愛い。





「そう、だってば」





子犬みたいなくせに、私が照れると、にやにやしながら距離を詰めてくる。

近付く顔に必死に目を逸らしていると、唇が触れてしまいそうな距離で犀川くんが動きを止める。





「ちゃんと言って、萌乃」







いつもより低い声。真剣な瞳。背筋がぞくりとするような、有無を言わさず人を従わせる、怪しい雰囲気。


ドクン、ドクン、と心臓が脈打つ。








「……好き、犀川くん」




「よくできました」





犀川くんは満足げに笑って、私の唇を塞いだ。


犀川くんの瞳には、真っ赤な頬の自分が映っていた。