アリスの家から王宮までは馬車で数分。
だんだんと王宮が近づいてくるとアリスは途端に緊張してきた。
こんな服装で良かったかな…
バッグから手鏡を取り出して髪型を整えた。
王宮の大門の前に着くと、兵士達により門が開けられた。
馬車から降りると聳え立つ城を見上げてアリスは深く息を吸った。
ここへ来たのは先月の社交界以来だった。
「…ようこそ、アリス様。」
1人の中年の男性がアリスを出迎えた。
「私はキース様の下で働いております、アドワンと申します。ささ、中へ」
「初めまして。宜しくお願いします。」
アドワンに案内されて中に入った。
「…アリス様の部屋へ案内させて頂きます。お部屋は西の塔になります。」
城の中に入るとメイドが忙しそうに働いていた。
そして、豪華なドレスを着た夫人達もあちこちにいる。
「…この王宮には王族や貴族の方々、それから王宮に使える従者達も暮らしています。貴族の方はこの王宮以外にも屋敷をお持ちの方もおりますので、全ての貴族方が暮らしていると言うわけではありません。アリス様のお家もそうでしたな。」
「ええ。我が家は王宮ではなくて、先祖代々受け継がれている屋敷がありますので、そちらに暮らしています。」



