「殿下、何者かが蔵に入ってきたようです。」

樽の後ろに隠れているアランが小声でシドに言った。

男2人は塩や麦には手を出さず、何やら慣れた手つきで蔵に置いてある木箱のフタを開けた。


「お頭、ありました。」

「よし、早く馬車に積むんだ。」

男達は木箱から何かを取り出した。

「…アラン、行くぞ」

シドの言葉でアランと2人、樽の後ろから出た。


「だ、誰だ?!」

男達はシド達に気がつくと、慌ててたいまつをかざした。


「王宮の近衛隊だ。お前ら、ここで何をしている。」

アランとシドは腰の剣を抜いて男達に突きつけた。

「王宮の…?!まずい、逃げるぞ!!!」

男達は外に逃げた。


外で見張っていたアリスとジェーンは、蔵から男達が出てくると、慌ててしげみから出た。


「あなたたち!逃げても無駄よ、大人しくしなさい!」

アリスはたいまつに火をつけると、男達にかざした。



「ちっ、見張りもいたのか…」


「アリス!下がってろ!」

アランが叫ぶと、見張りをしていた男が隙を見てジェーンを突き飛ばし、横にいたアリスを捕まえた。


「ひゃっ?!」


「へへへ、この女に怪我させたくなかったら、俺たちに手を出すな」

男はアリスの首に小刀を突きつけた。


「ちっ、」

シドとアランはゆっくりと、男達から離れた。


「そうだ、それでいい。おい、早く馬を出せ!」


どうしよう…!

アリスはふと、手に持っていたたいまつに気がついた。

そうだ、これを…!


バッ!!


アリスは待っていたたいまつを男達の馬車に投げた。


ヒヒーンッ!!!