レムナント


ヒヒンッ

アランは自分の馬に跨った。

アリスは用意された王子専用の馬車に、シドの後に続いて乗り込んだ。

トルマン州までこの狭い馬車の中2人きりか…

早く着かないかな…

馬が動き出し、トルマン州へと出発した。

シドは足を組んで頬杖をつき分厚い書類に目を通していた。

馬車に乗りながら文章を見たりして、酔わないのかな…


アリスは何か話しかけようかと何度か挑戦してみたが、口から言葉が出て来る事はなかった。

下手に声かけて、邪魔しない方がいいわよね。。


アリスはシドから視線を逸らし、窓の外を見た。

どんどん変わっていく景色をぼーっと眺めた。


暫く進むと、整備されてない山道に変わった。

ガタンガタンと馬車は揺れて大きな音を立ながら進んでいった。


ガンッ!

大きく馬車が跳ねた瞬間、アリスはがくっと窓に頭をぶつけてしまった。

いけないいけない…うたた寝しちゃった…

シドにバレていないか顔を上げると、


「っ…」

どくん…


シドも窓にもたれかかったまま眠ってしまっていた。