レムナント


「アリス、もっと読んでー!」

「ルーン様、もう2冊も読み終わりましたよ?」

すると、そこへ国王の元へ行っていたシドが執務室に入った。

「…っ、」

アリスの膝の上に座るルーンを見て、シドは一瞬動きが止まった。


「パパ!」

ルーンの言葉でシドはハッとした。


「アラン、明日は管轄のトラマン州に視察に行く。」

「かしこまりました。アリスと共に同行致します。」

シドはアリスをチラッと見た。

アリスはドキッと心臓が鳴った。

シド殿下のあの視線…なんだか背中が凍るような緊張感が走る…


「…パパ、明日お出かけ?」

ルーンが寂しそうな顔をして言った。


「ああそうだ。ルーン、自分の部屋に帰りなさい。」

先程の優しい顔ではなく、いつもの厳しい表情でルーンに言った。

そこへタイミングよくマリアが迎えに来た。

ルーンは何か言いたそうだったが、大人しくマリアと共に自分の部屋に戻った。