レムナント

「パパ」

ルーンがやって来ると、シドは仕事の手を止めた。

「ルーン、どうした?」

ひょいっと慣れた手つきでルーンを抱き上げた。

「ご本読んで?」

「パパは今仕事中だろ?今夜読んであげるよ。」

アリスはルーンと話すシドを見て少し驚いた。

先程までとは一変、表情が柔らかくなり父親の顔になっていた。

シド様もあんな表情されるんだ…

それに、2人ともよく顔が似てる。

ルーン様はシド殿下似なのね…

ふと、シドがアリスの方を見た。

アリスは慌てて視線を逸らし、書類を棚にしまった。

コンコン

メイドが1人部屋に入って来た。
「シド殿下、国王陛下がお呼びです。」


「分かった、すぐ行く。」

シドはルーンを降ろすと膝を付き、右手でルーンの頬をそっと撫でた。


「じゃあな、ルーン。」


そう言って、シドは部屋を後にした。