彼女と同じく野良猫で、痩せていたため助けてあげたいと思ったのだそう。


先輩も私と同じ失敗してたんだ……。



──ポツ、ポツ、ポツ……。



「ありゃ、雨降ってきたね。そろそろ帰ろうか」

「は、はいっ」



すると、昼休みに止んでいた雨音が再び聞こえ始めた。

鍵を出そうとバッグを漁りながら、2年生の置き場へ方向転換。


したその時──。



「うわっ!」

「おぉっと、危ない」



足を滑らせてバランスを崩した。



「大丈夫?」

「はい……っ」



あぁもう、最悪。

左の耳元では気遣う声が、背中には手のひらの感触が。

後ろに倒れそうになったところを支えてくれたと瞬時に気づき、ボンッと顔が熱くなった。



「この辺まだ乾いてないから気をつけて」

「すみませんっ。ありがとうございました」



サッと離れて一礼し、その場を去る。


最後の最後で、自分が滑ることになるなんて。

しかも、謝ったそばからまたお世話になるなんて……。


申し訳なさと恥ずかしさで先輩の顔を直視できず、逃げるように学校を後にした。