猫目先輩の甘い眼差し



「そもそも、遊びに行ったって一言も言ってないんだけど⁉」

「えっ、デートしてないの?」

「してませんよぉ。『ベルちゃんの健診があるから』って断られちゃったので」

「なんだよ、それを先に言えよ……」



デートしたのは誤解だったとわかり、収束した。


愛猫の付き添いか。それはしょうがない。


ベルちゃんは好奇心旺盛で活発な性格。
その反面、病院に行く時だけは怖がり。

まだ小さい頃、連れていこうとしたら暴れて、それ以来必ず誰かが付き添うようにしている。

という話を、子猫時代の写真をもらった時に聞いたから納得だ。



「あらら。他の日はダメだったの?」

「はい。塾があったり、猫カフェが休みだったりでダメだったんです」



そうだった。塾が忙しくて、1年の頃は部活に入れなかったんだっけ。

単に予定が合わなかっただけとも考えられるけど……。



「そっか。でも、ペットを可愛がってる市瀬さんのことだから、予定が空いてたとしても断ってたと思うな」

「俺も。仮に犬カフェに行こうって誘っても、天国でやきもち妬きそうだからって断られそう」