確認するように尋ねる声が隣から聞こえた。
動揺しているのか、ポテトをつまむ手が止まっている。
「はい。さっきと同じように、勉強も兼ねて、『春休みに猫カフェに行かない?』って」
「それは……2人で行かないかって意味で?」
「はい」
あっさりした返答に目を見開いた雷夜。
そして郁海も、グラスを持ったままフリーズ。
元保護猫を飼っている者同士、仲良しなのは知っている。
けど、遊びに誘うくらい親密な仲なのは初めて知った。
2人で猫カフェか……いいなぁ、楽しそう。
「おい颯、零士さんの話聞いてた?」
「え? 聞いてたけど……」
「それならなんでわざわざデートに行ったことを言うんだよ。まさか狙ってんの?」
「は⁉ 違うよ!」
「本当に?」
「本当だって! 狙ってないし、恋愛目的で誘ったわけじゃないって!」
数十分前と似たような言い合いが始まった。
郁海……俺の気持ちを汲み取ってくれたのは嬉しいけど、それくらいにしといてあげて。
ただでさえ厳つい顔してるんだから、それ以上問い詰めたら泣いちゃうよ。



