話を進める雷夜と郁海。
彼氏……そうだよな。
顔も心も綺麗なんだし、いてもおかしくない。
もしいなかったとしても、俺の知らないところでモテてそう。
「颯は聞いたことある? 去年はどんなだった?」
郁海の視線が、からあげを頬張る颯くんに向いた。
元クラスメイトで、この中では1番交流期間が長い。何か知ってるかも。
「女子とは結構話してたけど、男子と仲良くしてたのは見たことないなぁ。人数が少なかったのもあると思うけど」
「あー、そういえば前に、席替えしたら女子に囲まれたって言ってたな」
囲まれたってことは、女子が多かったのか。
それなら男子と交流が少なかったのも当然だ。
「好きな人がいるかはわかりませんけど、彼氏はいないみたいですよ」
「そうなの⁉」
「はいっ。この前遊びに誘った時に聞いたので!」
満面の笑みで言い切った颯くん。
良かった。これなら安心してアプローチできる。
胸を撫で下ろしたのだが……。
「ちょ、ちょっと待って。今、遊びに誘ったって言った?」



