「はじめまして。同じ動物部に所属しています、2組の樫尾郁海です。颯とは去年同じクラスだったんですよね?」

「はいっ、そうです。こちらこそはじめまして」



黒板の前で自己紹介を交わす。


なんだ、クラスメイトだったんだ。

詳しく聞くと、なんと同じ列に座っているという。
1番後ろの席なんだそう。


まだ前後の人としか話してないのに、どうりで記憶にあるなと思ったら。プリント回収の時に顔見てたんだっけ。

部活も同じなのに気づけなくて申し訳ない。


心の中で謝りながら準備室に入る。



「颯はさっき聞いたけど、市瀬さんはどうして零士さんに? 今まであまり関わりなかったよね?」



椅子に腰かけた途端、樫尾くんから鋭い質問が飛んできた。


ただ理由を尋ねてるだけなんだけど……顔立ちと声の低さも相まって、問い詰めているように聞こえる。

他の人達みたいに、先輩に近づきたくて会いたいと思われてるのかな……。


先輩呼びじゃないから、もしかしたら笹森くんよりも付き合いが長いのかも。



「郁海! そんな怖い顔すんなって。別に先輩目当てで来たわけじゃないから。ね!」

「う、うん……」