話によると、ほんの数分前まではここにいたらしい。
残念。もう少し早く行けば良かったな。
「市瀬ちゃんも、今日ダンスパーティー参加するんだよね?」
「はい。朝日先輩も参加するんですか?」
「うん! 実は、雷夜と一緒に踊るの」
嬉しそうに頬を赤らめた朝日先輩。
その顔は、何か進展があったっぽいな。
もしかしてさっき、いつもと髪型が違ったのって、後夜祭のためだったりして……?
「じゃ、また夕方会おうね!」
「はい! 楽しみにしてます!」
詳しく聞きたい気持ちを抑えて、先輩に別れを告げた。
不安になってたけど、朝日先輩がいるなら心強いや。
「あっ、そうだ、メモ……」
月香ちゃんとの待ち合わせ場所に向かう前に、もらったメモを確認する。
「えっ……これって……」
✾✾
文化祭が終わり、一時帰宅した夕方。
「ごちそうさまでした」
午後5時35分。リビングにて普段より早く夕食を終えた。
「世蘭、後夜祭は何時まであるの?」
「9時。でも、早めに帰ってくる」
「そう。1人で平気? お母さんが送ろうか」
「いや、大丈夫。迎えが来るから」



