そう強く言い放つと、小走りで中庭にやってきた。

私に失礼なことを言わないか、変なことを言わないかが気になって、最初から盗み聞きしていたらしい。


全然気づかなかった。物音1つしなかったもん。



「部活で他の人の話に同調してばかりで、全然自分から話振らないなって思ったら……騙してたなんて」

「ちが……」

「本性を隠してた世蘭ちゃんよりも重罪だぞ!」



私を引き合いに出して騒ぎ始めた零士先輩。


やっぱり部活でもそうだったんだ。

盗み聞きしてた先輩もどうかといえ、これはショックだよね。



「お前が免許取るまで、バイクに乗せてやんないっ」

「えーっ、酷い。遊びに行きづらいじゃないですか」

「俺を足に使うな! しばらくは禁止!」



中庭のど真ん中でわーわー言い合う2人。

なんか、カップルの痴話喧嘩に聞こえてきた。

樫尾くんの余罪もなかなかだけど、本当に仲がいいんだなってのがうかがえる。


……ちょっと羨ましいな。



「もう俺の味方は、世蘭ちゃんと笹森くんだけだよ」

「わ……っ」