動物を飼っていない零士先輩でさえ、あれだけ愛を表現しているのに、なぜか樫尾くんは皆無。
猫より人間のほうが好きなのかな?
「実は…………俺、本当は猫じゃなくて、犬が好きなんだ」
少し俯いた彼の口から本音がこぼれた。
えええええ⁉ まさかまさかの、犬派……⁉
「ち、ちなみに、どれくらいの比率で?」
「……7対3」
おおっ、なかなかの犬派だ。
「じゃあ、どうしてベンガルに入ったの? 先輩がいるから?」
「それもあるんだけど、猫と仲良くなりたいなと思ったんだよ。犬とは仲良くなれる反面、猫とは相性が悪くて」
「すぐ引っ掻かれちゃうんだ」と付け足し、寂しそうに笑った樫尾くん。
それは切ないな……。
「零士さん、動物とすぐ打ち解け合えるから、何か秘訣があるのかなと思ってさ」
「樫尾くんも? 私もその秘密、ずっと探ってるの」
「マジ? 市瀬さんも?」
少し上がった、語尾と声のトーン。
私が先輩のことをもっと知りたいと思ったきっかけと、ほぼ同じ。
また1つ、共通点見つけちゃった。



