「だけど、市瀬さんは違った。純粋に動物が好きで部活に入ったんだって、活動している時の顔を見たら、すぐわかった」



横を向いた彼と視線がぶつかった。

クールな目元は、緩やかな弧を描いていて、とても柔らかい表情を浮かべている。



「零士さんに会いたいって言われた時はめちゃめちゃビックリしたけど、恩を忘れない人なんだなって感動して。この人なら安心して零士さんを任せられると思ったよ」



ま、任せられるって……。

なんか前も似たようなこと感じたけど、後輩なのに、樫尾くんがお兄さんみたいに見える。

いや、この場合は、親戚のおじさん目線?


実際に零士先輩、弟でもあるから、お兄さん要素に加えて弟要素もあるのはわかる。

ただ、樫尾くんはどうなんだろう。

兄弟事情を聞いたことがないから、真相は謎だけど……大人っぽく感じるのは、環境の影響もあるのかな?



「愛が……強いんだね」

「そうかな?」

「強いよ! 一瞬、私のこと好きなの? って思っちゃったくらいだもん」

「あははっ。好きではあるけど、零士さんと同じで、人間性が好きってだけだよ」