なるほど。愛が強いのか。
でも……それだけで心を開くだろうか。
愛が溢れすぎて、逆にドン引きする場合もあるよね。
特にトラ吉は敏感だからなぁ。声のトーンが少し下がっただけでもピクッて反応するし。
超人ならではの必殺技を使ったのかな。
ちょっと気になるけど、まずは改めてお礼を言いたい。
会いたいなと言わんばかりにチラッとドアに目を向けると、小窓に人影が現れた。
「あ! 郁海!」
「おっ、颯」
中から出てきたのは、クールな雰囲気をまとった、涼しげな顔立ちの男の子。
笹森くんの友達のようだ。
「ちょうど良かった! 今時間ある?」
「あるけど、何か用?」
「零士先輩に会いたいんだけど……」
お互いタメ語ってことは、同じ2年生?
この人も猫目の先輩と仲良しなのかな。
にしても、この顔、どこかで見たような……。
「零士さん今、新入生の相手で忙しいから、ちょっと難しいかも」
「そっかー。なら伝えといてくれる? 今スマホ持ってないし」
「オッケー。放課後なら多分大丈夫だと思うから、決まったらまた連絡する」
「わかった! サンキュー!」



