猫目先輩の甘い眼差し



機嫌をうかがうように、恐る恐る尋ねた。

さっきの誤解が解けたからって、元凶であるこの件については、まだ解明されていない。

零士先輩や月香ちゃんの言った通り、私の考えすぎならいいんだけど……。



「え? 怒ってる? どういうこと?」



ものの1秒後。拍子抜けした表情で返されて、不安が一瞬にして消え去った。



「だって……報告した時、暗い声してたから」

「あぁ、あれは……少し寂しいなって思っただけだよ」



寂しい……それは、私に対して?
それとも、先輩に対して……?



「別に、やきもち妬いてたわけじゃなくて。純粋に嬉しかったんだよ。零士さんも市瀬さんも、とても素敵な人だから。だけど、これから関わる時間が少なくなるのかなと思ったら、寂しいなって」



ペラペラペラと、彼の口によって、様々な言葉が並べられた。


綺麗な心で応援してくれていて。
私のことを素敵だと、陰で想ってくれていて。
嬉しかったけど、本当は寂しさを感じていて。


樫尾くんの本音が、胸の内が、2ヶ月半かかってようやく明るみに出た。