猫目先輩の甘い眼差し

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決心して数日後の、週末の土曜日。

文化祭の準備を終えた後、樫尾くんを呼び出した。



「時間作ってくれてありがとう」

「ううん。俺も話したかったから。バイト入れてなくて良かったよ」



お店の看板や風船など、飾りつけられて華やかになった中庭へ向かい、ベンチに腰を下ろす。


この緊張感……。

零士先輩に、自分の過去とコンプレックスを打ち明けた時と似てる。


静かに呼吸を整えて、ゆっくり口を開く。



「今まで本当にごめんね。旅行中も、まともに挨拶できなくて、感じ悪かったよね」

「いや、それは……邪魔した俺も、非があったし」



「ごめんね」と逆に謝られてしまった。


なんて優しい……というか、心が広いんだ。
さすが、零士先輩の友人。

だけど、今は穴があったら入りたいくらい、恥ずかしい。


どこから聞かれていたのか、見られていたのかはわからないけど、キスしていたのは知ってるんだもんね。



「話聞いてると思うけど、市瀬さんよりも、零士さんにドン引きしたんだよ」

「そ、そんなに見苦しかった……?」

「まぁ……学校でよくそんなことできるなぁって」