猫目先輩の甘い眼差し



頭の中で計算していると、後方で聞き覚えのある声が響いた。



「笹森くん!」

「えへへ。来ちゃった。猫グループ希望です!」



振り向いた先には、満面の笑みを浮かべている笹森くんの姿が。

突然の登場に目を丸くして驚いた。



「ごめんね……今満員でちょっと入れないの」

「えええ! そんなぁぁぁ!」



細まっていた目と逆三角形になっていた口が大きく開き、ニコニコ笑顔が一瞬にして崩壊してしまった。



「せっかく来てくれたのに、本当ごめんね」

「ううん。来るのが遅かったからしょうがないよ」



「カーデ下ろしてきたのになぁ」と、切なく笑いながら胸の内を露わにした笹森くん。

これはトラ美ちゃんの話をする気満々だったようだ。



「まぁいっか。見学しなくても入部できるし」

「えっ、部活入るの⁉」

「うん! 親にオッケーもらって、パソコン部と動物部に入ることにしたよ!」



彼いわく、塾に通っているため、あまり部活に充てる時間がなかったとのこと。

親と塾の先生と相談して、平日に休みをもらったらしい。